第30回ハイメスコンクール<管・弦・打楽器部門>  入賞者の発表

第1位  大久保 陽子さん(クラリネット)

大久保 陽子(北海道教育大学岩見沢校芸術課程音楽コース卒業・札幌市出身)


◆入賞された今のお気持ちをお聞かせください
びっくりしています。今回、ハイメスコンクールを受けるのはこれが最後かなと思って頑張りましたが、演奏は自分でもここが悔しいと思う部分はたくさんあったので、まさかという感じでした。

◆留学に向けての現段階でのお考えはありますか
具体的には決めていませんが、以前はドイツ音楽がすごく好きなのでドイツで学びたいと思っていましたが、今はフランスにも興味があります。

◆音楽家としての目標はありますか
室内楽やオーケストラが大好きなので、そういった演奏がしていけたらいいなと思っています。

◆今回の演奏作品(I.ストラヴィンスキー/3つの小品、C.ドビュッシー/第1狂詩曲)について
2曲演奏しましたが、ドビュッシーは以前から取り組んでいた作品であり、映像的なイメージが前よりも膨らんだのでまた演奏したいと思い、決めました。このコンクールは15分演奏できるので、ドビュッシーだけでは時間が余りもったいないと思ったので、時代的に近いもので、無伴奏にも取り組んでみたいと思いストラヴィンスキーを選びました。 

第1位の大久保さんには、宝石の玉屋様から副賞として、“純金ウィーン金貨ハーモニー”(1oz《オンス》)が贈呈されました。

第2位   福島 さゆりさん(フルート)

福島 さゆり(東京藝術大学音楽研究科修士課程器楽専攻2年在学・石狩市出身)


◆入賞された今のお気持ちをお聞かせください
地元の北海道で受けるコンクールは高校生以来だったので、入賞したいという気持ちで今日まで頑張ってきたのですが、正直、今日は気合が入りすぎてしまい反省も残る演奏になり、課題が見つかりました。それでも今回入賞させていただいたことを励みに、もっといい演奏ができるように努力していきたいと思います。

◆留学に向けての現段階でのお考えはありますか
ここ一年くらいで留学について色々と考えるようになりました。もう一年大学院に在籍するので、また具体的に考えていきたいです。現段階ではドイツかなと思っていますが、師事したい先生をみつけて準備をしていきたいです。このコンクールに出るということは留学をするという気持ちがありましたが、入賞させていただいたことで背中を押してもらえたように思うので、実現できるようにしたいです。

◆今回の演奏作品(A.ジョリヴェ/フルート協奏曲)について
演奏時間15分だと色々な作品が演奏できると思い考えましたが、大好きなこのコンチェルトを選びました。各楽章ごとにいろいろな要素がたくさんある曲なのでそういう表情を出せたらいいなと思って挑戦してみました。

第2位   永井 彩澄さん(フルート)

永井 彩澄(東京音楽大学2年在学・網走市出身)


◆入賞された今のお気持ちをお聞かせください
周りの方がすごく上手で感心していました。まさか自分が入賞できるとは思っていなかったのでびっくりしています。

◆留学に向けての現段階でのお考えはありますか
具体的には考えていませんが、尊敬する先生方がフランスに留学されていたことがあり、憧れがあるのでいつか行くことが出来たらいいなと思っています。

◆今回の演奏作品(A.ジョリヴェ/リノスの歌)について
現在大学に在籍していて、学年末の試験曲として演奏しました。入学したときに失敗してしまった曲だったので長く練習して本番で経験が積めるようになればいいなと思って選曲しました。

審査委員長 新田ユリ先生からの講評

23名の参加者の皆さん、本当に今日は一日とても素晴らしい集中力の高い演奏をありがとうございました。
今日、審査委員長という役目を仰せつかりました。こちらにいらっしゃいます経験豊富な、そして、北海道、札幌に縁の深い先生方の前にお役目をいただきまして、このように代表してお話させていただきます。
今日の講評は先生方皆さんからいただいたものも入っております。
まず、23名の方、朝から夜までしっかりと聴かせていただきました。打楽器、弦楽器、管楽器というふうに順番に進んでまいりまして、正直言いますと、この楽器の種類の違う審査というものがどのようにできるのかというのが内心案じていました。実は私はハイメスとはオーケストラでご縁をいただいておりますが、この審査というのが初めてでしたので、その点でちょっと不安がありました。しかし結果として、不安が払しょくされまして音楽そのものを皆さんから受け取るというところで審査をするということができました。
このあと、審査結果があります。審査ということ、コンクールということなので厳しく結果が出ますけれども、それ以外の点で少しお話をさせていただきます。
今回、皆さん15分という限定の時間の中で、選曲されたものを私達はじっくりと聴かせていただきました。
一番感じたのは、エントリーされた皆さん、この曲を選んだ参加者の皆さんが作品とどのくらい向き合って、その作品とどのくらい会話をして、それをこのステージでどのように演奏されたか、発表されたかというところでした。
現代曲から古典のものまで並んでいましたけれども、いずれの作品もですね、その作品が持つ特徴、背景、それからその作品が訴えかけているその構造、和声構造だとか、調性感だとかいろいろなものがありますよね。私達生きた人間、生きた音楽家がそれを現実の空間で音にして解き放つというのが演奏という行為です。それは録音だとか、たとえば今流行りのAIによる演奏だとか、そういうものとは全く違う次元で、人間というその音楽家がどういうふうに音楽を表現するかというところ、それがまさにこの15分のコンクールの中で表れていたのではないかというふうに感じております。
賞を獲った皆様、一様に我々が感じたのは、その作品の持ち味、作品のエッセンスを非常にきちんと丁寧に、十分に思い思いに表現されていた、その点で審査員の意見は一致しておりました。
そして、いまひとつ、またはもうちょっとというところで思った人は、和声感の不足、これは作った人の気持ち、作曲家の気持ちをぜひ考えてこれからも勉強していただきたいなと思ったところです。
クラシック音楽、脈々と続いておりますけれども、少なくとも和声を持った作品の場合やっぱりそれを無視することはできない。その中にそれぞれの楽器の音色、語り口、発音、すべてが計算されて考えて、そして私達音楽家は表に出していかなくてはいけないですね。それをどういう風に考え抜くかというところ、おそらくそこに演奏の最大の価値が出てくるのではないかと思っております。その点の勉強というものを、これから、若い皆さんまだまだ勉強する時間があると思いますので発揮されてください。
同様に審査委員一同一致したのは、とっても皆さんのテクニック、レベルが高いです。せっかくもっていらっしゃるテクニックをどのようになんのために使うのかということも併せてぜひ考えてみてください。そうするとますます皆さんの持っている力が音楽的に発揮できるようになると思います。
どうぞ、またハイメスコンクールが続くと思います。ぜひ挑戦してください。そして今回、これから発表される受賞された皆さんの未来が明るく開けますことを、皆さんの音楽家への道が開けますことをお祈りいたします。
長くなりましたが講評とかえさせていただきます。審査委員の先生方、本当にありがとうございました。お疲れ様でした。ありがとうございました。

2018.3.22 第30回ハイメスコンクール表彰式にて

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