第2回 ハイメス留学劇場
平成22年6月22日(火) 札幌市民ホール2階 会議室


(留学体験者) 高橋雅子 横路裕子 山本郁実
(留学希望者) 伊藤由依 大平リリー 川島沙耶 中島幸治
(コーディネーター)駒ヶ嶺ゆかり  (広報委員)立花雅和 森吉亮江
(陪席)西村事務局長

第1話 【登場人物紹介】

駒ヶ嶺ゆかり(司会):皆様、本日は有難うございます。ようこそお越しくださいました。ハイメス座談会第2回「留学のススメ」ということでお集まりいただきました。それではまず、留学を経験されたお三名から自己紹介をお願いいたします。

山本郁実:クラリネットの山本郁実と申します。留学先は、大学で提携がありましたノルウェーのグリーグアカデミーというところで、1年間留学していました。

横路裕子:横路裕子と申します。最初の2年間はピアノで後半の2年半は室内楽を専攻しました。ドイツ国立ロストック音楽演劇大学というところでバルト海沿いの海の街でした。5年間行ってました。

高橋雅子:ソプラノの高橋雅子と申します。今から6年前にあるNYでのマスタークラスに参加し先生にボイストレーニングを直接交渉し、5年間、毎年数ヶ月間にわたりレッスンを受けました。ジュリアード音楽院のそばに住んでおりましたので、音楽院の先生にも時々教えて頂きました。宜しくお願い致します。

駒ヶ嶺:次に留学を希望者されている方4名の方にお願いいたします

大平リリー:初めまして。大平リリーと申します。ソプラノとしての留学を希望しております。国は本場であるイタリアがやっぱりいいかなと思っていますが決まっているわけではありません。数年のうちに2~3年以上留学できたら、と思っております。

伊藤由依:伊藤由依と申します。専攻はオーボエです。留学の希望先は、試験を受けて決まったのですが、今年の8月からノルウェーのグリーグアカデミーというところに1年間留学する予定です。よろしくお願いします。

川島沙耶:ソプラノの川島沙耶です。教育大学岩見沢校の大学院1年目に在籍しています。留学希望の国はイタリアかドイツがいいなと思っております。

中島幸治:中島幸治と申します。今は札幌大谷大学の研究科の1年です。留学先の国の希望は、ハンガリー・ブタペストかドイツで、まだ漠然としておりますが、期間は2年くらいを希望しています。専攻はピアノです。

駒ヶ嶺:ありがとうございます。というわけで今日は豪華なメンバーで座談会を繰り広げて参りたいと思います。

第2話 【入国するまで】

写真駒ヶ嶺:留学の魅力について、経験をされた方々からお話を伺いたいと思います。貴重なお話も伺えると思います。早速留学前の手続き、入国時の注意点をお話いただきましょう。ではまず、ノルウェーに行かれました山本さん、お願いします。

山本:ビザを取得について、入学許可が出るのは結構ギリギリになり、ビザを取得せずに入国しました。つまりノルウェーに入国したさいは、観光ビザでした。このような手続きをみなさんしているようです。留学先の学校と入国管理局の手続きがが、難しい時期のようです。

駒ヶ嶺:欧州のこの時期は夏休みで大変ですね。横路さん、ドイツはどうでしょうか。

横路:例えば学生ビザには語学ビザと受験ビザというものがベルリンには存在していました。しかし、ビザ習得には、各都市よって格差があるようです

駒ヶ嶺:アメリカは、高橋さんはいかがでしょうか。

写真

高橋:同時多発テロの影響でアメリカは入国審査がさらに厳しくなりました。学生ビザも観光ビザも、ESTAという手続きを取らなくてはいけません。申請は自宅のPCで出来ます。申請は申請した日から2年間有効で、それ以降は更新が必要です。私は直前に知って焦り、恐ろしい思いを致しました。

駒ヶ嶺:アメリカなどは、機内に入る際に手荷物でかなり厳しいチェックを受けるようですね。

高橋:フランスもそうでしたが、機内への液体の持ち込め量が決まっています。規定の量以上の携帯用の化粧水や手の保湿クリームなどもです。金属探知機のゲートを通る時も、冬はブーツを脱がないと通れません。

大平リリー:外国の空港ですと靴とジャケットを脱がなければいけないというのが当たり前になってきていますね。

駒ヶ嶺:次は留学資金、もしくは学費について。実際にどのぐらい準備しなければならないのか非常に気になります。ノルウェーの場合はいかがでしょうか。

写真山本:ノルウェーでの学費は国の税金で賄われているので掛かりません。しかし生活費は物価の高い国なので、全てのものが日本の1.5〜2倍位です。特に楽器の消耗品が高く税金がかかっているので、とてもお金がかかりました。そして事前の手続きとして1年分の生活費にあたる額を、留学先の学校から指定の口座に振り込みます。その残高証明を提出する必要があります。

駒ヶ嶺:伊藤さん、ご存知でしたか?

伊藤:知っていましたが、お金に関する連絡をまだ受けていません。ノルウェーに行ってからビザを申請しようと思っています。

山本:入国管理局で申請してIDナンバーを出してもらい、それから口座を開設するという流れになるのですが、私の場合、滞在中の1年間そのIDナンバーが発行されませんでしたが、大学が代理をしてくれて口座を開設しました。しかし、1年間ずっと使わせてくれだわけではありませんでした。

駒ヶ嶺:やはり事前に準備できる事は早めに準備して良いでしょう。ドイツの場合は如何でしたか?横路さん。

写真

横路:留学する形によって必要なビザの取り方があります。私の街は二通りあって、1ヶ月に500ユーロ以上の仕送りがある証明を3ヶ月分貼って出すか、500×12ヶ月の6000ユーロ入った残高証明を提出するかです。私はその6000ユーロの方を提出しましたが、無効でした。これは一時的に他の人達から借りて残高証明を作るケースがあるからです。結局1ヶ月に500ユーロしか引き落とせないという縛りをかけられました。

駒ヶ嶺:アメリカの場合も興味深いのですが如何ですか。

高橋:シティバンクという銀行が札幌にもありますね。ニューヨークが本店なのですごく便利でした。24時間コンビニなどで引き出せるというシステムです。ただ引き出す度、手数料が確か2ドルくらいかかります。

駒ヶ嶺:クレジットカードの必要性を仰ってましたね。

高橋:恐らくアメリカ(NY)でクレジットカードを持っていないという事は社会的に保証されていないと思われるので、1枚は持っておいたほうが良いです。例えば気晴らしにジャズクラブに行く時にクレジットカードと写真入りの身分証明書を見せないと入れてくれない場合があります。友人は皆小さな買い物もクレジットカードを使用していました。スターバックスでお茶をする時も。

駒ヶ嶺:さて、ここまでで質問はありますか?

伊藤:楽器に関わる費用についてですが、リードなどの消耗品や、楽器のケア用品を購入するお店はあるのでしょうか?

山本:ベルゲンで1件だけ楽器屋さんがありました。あんまり品揃えは良くはないです。

伊藤:ネットで買ったり、行く前に準備したほうがいいんでしょうか。

山本:ノルウェーでは値段は日本の倍以上でしたので、かつおぶしと一緒に送ってもらったりして(笑)。ノルウェーの学生でもオーボエのリードを削っている人はいて、学生も一杯材を抱えているのをみたので入手するルートはあると思います。ぜいたく品とみなされるので税金が高い率で掛かっています。

横路:ドイツでは、私の周りの人は皆インターネットで買っていました。

山本:ノルウェーでも出来ると思いますが、国を超えるときに関税がかかるのかなーと思います。



⇒ 第3話 【言葉の事情】へ続く