指揮者・新田ユリ様インタビュー

この「道民・オーケストラワークショップ 管弦楽団演奏会」のために来道頂いて3年目を迎えます。 今年の「道民オケ」に向け、演奏作品について、特にマーラー交響詩「巨人」のハンブルグ版について貴重なお話を伺う事が出来ました。また翌日の演奏会に対する熱い思いも語って下さいました (動画でご覧頂けます)。

Part1

part2

ソリスト・インタビュー

モーツァルト「2台のピアノのための協奏曲」の二人のピアニストにインタビューさせていただきました。


【谷本聡子様(ピアニスト・研修委員)】
写真 作品について
今回はウィーンの作曲家同士のプログラムです。モーツァルトのこの作品は、一人でも演奏できるような室内楽的作品。モーツァルト自身、姉との共演のために書いたので、親密な音色が出せると面白いと思います。

また共演するパートナーとしての互いの印象
横路さんとは20年前の帰国直後に共演して以来で大変懐かしいです。"流れを大切にする"ピアニストであると感じます。

「道民オケ」への意見
「道民オケ」は立ち上げに関わりました。プロ・アマが一緒になりこの3日間で研修の場を持ち、その成果は音楽に現れています。若い人が今後も関わり、北海道において続けられるようにするべきでしょう。


【横路朋子様(ピアニスト・研修委員)】
写真 作品について
20曲以上あるモーツァルトのピアノ協奏曲の中で、2台の為の10番、3台の為の7番は姉妹のような存在です。姉のナンネルとの語り合うような作風が魅力だと思います。

また共演するパートナーとしての互いの印象
谷本さんとは以前に共演した事もあり、気心が知れた仲。楽譜に忠実なピアニストであると感じます。

「道民オケ」への意見
「道民オケ」はスタッフのオケへの熱い思いと 札響メンバーの皆さん、3日間熱心にご指導下さる指揮者の先生に頭が下がります。いずれはハイメスオーケストラとして活躍していって欲しいと思います。

出演者・インタビュー

【大平まゆみ様(コンサートマスター)】
写真 今年も「道民オケ」全体を絶大なパワーで牽引して下さいました。大平さんのリードによるこの三年間は、「音楽の方向性を考えながら日々構築する事の大切さ」をリハーサルで真剣にご指導下さっています。大平さんのようなプロフェッショナルな音楽家に出会うことの大きな意義を感じさせられます。

【打楽器チーム:真貝裕司様】
写真 モーツァルトとマーラーは全く違うスタイルの作曲家であるからこそ、非常に面白いプログラムです。「巨人」のハンブルグ版は大変興味深く、初版ならではの発見がありました。これまでの演奏会で印象に残っている演奏会は創立20周年記念特別演奏会の『1812年』、第4回のオール・シベリウス・プログラム、第2回『シェーラザード』も忘れられません。私個人としては8月『カスタネット音楽祭』、9月に今井重幸作曲のカスタネット協奏曲を世界初演します。いずれも東京公演ですが、今後このような作品を「道民オケ」で取り上げてほしいと思います。

【コントラバスチーム:藤澤光雄様】
写真 今回の2人の作品の違和感は全くなく、キャラクターの違いを楽しむ事が出来ると思います。初版で演奏する「巨人」はマニアックでもあるが非常に新鮮味がある。大きな編成のオーケストラでなければ実現できない試みです。6年目の参加になるが、コントラバスは少しずつメンバーを変えながらもチームワークを持って頑張っています。思い出に残る演奏会は第1回目のベートーヴェン「交響曲第7番」大変苦労しました。毎回緊張感を持ってパート練習の大切さを噛みしめています。

東京外国語大学管弦楽団チーム:
【内田智子様(ヴァイオリン)】

札幌の友人である中島聖弘さんに誘われて参加しました。これまで学生オケの経験が多かった中、プロの演奏家の方と一緒に演奏できる事は大変嬉しいです。皆さんと溶け込んだ音楽にしたいです。


【樋元祥太郎様(チェロ)】
写真 中川恵美先生からご紹介を頂いて2年目の参加です。新田ユリ先生の指揮が大好きです。大変勉強になります。今年も演奏会当日をとても楽しみにしています。







【中島聖弘様(チェロ)】
写真 中川恵美先生からご紹介を頂いて初めて参加します。マーラーは大好きな作曲家で、今回の初版での演奏は新鮮な印象を持っています。札響メンバーの方がいらっしゃるので大変演奏しやすいです。

【立花雅和様(フルート・広報委員)】
写真 今回、「巨人」のみを演奏しますが、マーラーの音符ひとつにかける思いがハンパではない事を、今回痛感しました。この作品のフルートの役割は自然界の音、鳥のさえずりを表現していることに加え、木管楽器群をサポートする重要な役割も持っていると思います。新田ユリさんの最高の指導を受けられる事は大きな喜びです。 この「道民オケ」は、運営の大きな苦労の上に成り立っており、この影のサポートがあるからこそ、我々は演奏に集中できると思います。オーケストラの経験をさせて貰えることも我々にとって貴重な機会です。この研修が存続できることを望んでいます。

出演者・演奏後の感想

3日間のワークショップを経て、演奏会を終えることが出来ました。ご参加頂いた皆様から、以下の内容についてメッセージを頂きました。

@今回のプログラムについて
A道民・オーケストラワークショップ演奏会への参加・印象について
B「道民オケ」への希望など

【平野令緒様(チェロ)】
@ウィーンを中心に活躍した代表的な作曲家二人の作品でとても良い組み合わせだと思いました。両作品ともアンサンブルが大事なことを教えてくれるアマチュアにとっては怖い(!)作品でした。

A第2回からヴァイオリンの妻と連続参加していましたが、今年はチェロの高2の長男と参加しました。今回親子でプルト組んで演奏できたのは良い思い出になりました。プロの方々の短期間で練習し曲を仕上げ、さらに本番で最高の状態に持っていく集中力に、いつも勉強させられます。また、お休み返上でボランティアでお手伝いいただいているスタッフの方々にはいつも頭が下がります。今回も本当にお世話になりました。ありがとうございました。

Bプロの方々と一緒に音楽づくりに参加できるのはとても勉強になりますし、何より「音楽やっていてよかった!」と再認識させられます。野球で言うと朝野球やっているアマチュアが日ハムのメンバーと一緒に試合できるような大変貴重な経験です。運営など大変なご苦労があると聞いていますがぜひ続けて頂きたいです。

【平野拓人様(チェロ)】
@今回は自分の担当だった曲で精一杯で、モーツァルトを聞けませんでしたが、この交響詩について、最近読んだ本の中に「一番聞きやすいマーラー」とありました。自分にとっては初のマーラーでしたが、これからハマっていきそうなくらいこの曲は好きになれました。そういう意味でも今回は非常にいい機会だったと思います。

A昨年までは両親が参加しており話を聞くだけでしたが、やはり百聞は一見に如かずで、実際に参加してみると全く違うイメージでびっくりしました。特に一番感じたのは、本番の時に見せるプロの方々の集中力や統制力です。打ち上げで誰かが仰っていましたが、初日から日に日によくなり、本番に向け仕上げていくのが可能なのは、プロがいて初めて成り立つと感じました。

B自分の様なアマのアマが、このような機会を頂けて本当に光栄です。出来れば続けてほしいと思います。来年高3なので受験のため参加できませんが、もし再来年も開催されれば、(大学にいるか予備校にいるかは分かりませんが…)是非とも参加したいです。

【森井光恵様(ヴァイオリン)】
写真 @モーツァルトはとても素敵な演奏でした。私が演奏したマーラー「巨人」は念願の曲でした。「道民オケ」らしく"初期稿"で道内初の演奏。一般の「巨人」と出だしから違っていて、手書きのパート譜も解読が大変でしたが、演奏後の達成感は格別でした。

A私は1回目から、キタラでの設立20周年記念特別演奏会も入れると7年連続で参加させて頂きました。2008年からのコンマス大平さんにはお世話になってます。本番のとき、時折振り返って弾いて下さいます。今回のマーラーも最後の1ページ前!大平さんの笑顔に、私たちも渾身の力を振絞り情熱的に演奏できとても幸せでした。

Bアマチュアの私達にとって、アマオケとは明らかに音が違う素晴らしい響きの中で演奏できる「道民オケ」は、本当に幸せでとても貴重な場所です。毎年アンコールの定番「騎士のマーチ」のたび、前年よりも上手くなっている自分に驚き、自分自身の一年間の成長を振り返られる時でもあります。音楽に情熱を持った仲間に毎年会えるのも、また新しい方に出会える「道民オケ」は、私の至福の時です。このような機会を準備して下さっている皆様に心より感謝致します。

【櫻井匡様(トランペット・研修委員)】
写真 @ 演奏される機会の少ない二曲ですが、非常にバランスのとれた組み合わせではないでしょうか。僕個人としては「花の章」というあまり演奏されない楽章にトランぺットのソロがあり、特別な思いで演奏しました。

A僕は全ての演奏会に参加させて頂いていますが、いつも大曲ばかりなのでトランぺット奏者として責任を感じて演奏させて頂いています。

B様々な音楽大学の卒業生や在学生が勉強できる演奏会にして頂きたいと思います。なかなか大曲に取り組むことが少ないので、若い人たちに素晴らしい経験をして頂きたいですね。


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